ジョニーは戦場へ行った

「ジョニーは戦場へ行った」を見る。救いのない内容という理由で度々話題に上がる。1971年のアメリカ映画でベトナム戦争後期の反戦映画になる。映画の時代設定は第一次世界大戦。

第一次世界大戦当時の志願兵募集の宣伝文句は「Johnny Get Your Gun(ジョニーよ銃を取れ)」だったようで、本作の英語タイトル「Johnny Got His Gun(ジョニーは銃を取った)」は、まんま当てつけとなっている。

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70年代初頭の映画って自分の世代より一回り上になる。「猿の惑星」が68年、72年に「ポセイドン・アドベンチャー」、73年に「エクソシスト」、74年に「タワーリング・インフェルノ」と、小さい時にTVで流れていたのを覚えている。登場人物の思考回路も、現代とは少しズレを感じる。

本作のあらすじは、軽い気持ちで戦争に志願した若者が被弾してしまい、手足切断、さらに顔がえぐれてしまって、目も見えない、耳も聞こえない、匂いもしない、口も使えない状態となってしまったのに意識だけはあり、実験目的で生かされ続けるという話。なので作中では、現実が白黒、夢の世界がカラーで表現される。

「プライベート・ライアン」も残酷だと話題になるが、あっちは肉体的な残酷さだが、本作は精神的な苦痛を表現しており、ジョジョのカーズが考えるのをやめたシチュエーションとよく似てる。しかしカーズに比べると、本作のジョニーの心の叫びは感情がこもった音声でナレーションが入るので、より想像しやすい。

悲惨としか言えない状況に置かれるジョニーだがヒーローになろうとしたわけではない。塹壕の外で死んだ敵の死体を片付ける命令を受け実行しただけだ。特別な事をした訳ではない。戦場に行けば誰にでも起こりうる訳で、平和な日常において戦場を過小評価してしまう若者にはショッキングだったろう。

救いのない内容と聞いていたので心構えがあったせいか想像を超えるラストではなかったが、いいなと思うシーンは多かった。

気に入ったシーンは4つ。最初はジョニーの彼女カリーンと一晩過ごすシーンで、裸でベットに入った2人が何を語るでもなく天井を眺めていると、カリーンの父親の咳払いやトイレの音が効果音で入ってくる所。父親のおっさん感も良かったが、他人の家に泊まった時って、そーいう音に聞き耳を立てるのは、古今東西変わらないよね。

次に一番良かったシーン。ジョニーの病室は彼に意識がないと思われていたので、ずっと窓が閉めっぱなしだった。ある時、婦長が病室に訪れ、彼に意識があろうとなかろうと日中は窓を開けるもんと説教。その日を境に窓を開けるようになる。ジョニーは感覚だけはあるので、おでこに温かみを感じで、それは太陽だと気付く。太陽の温もりの偉大さが丁寧に描写される。特に病人には太陽の光って大事だよなと感じた。

ジョニーの父親との関係も良かった。父親が大事にしている釣竿(この釣竿が父親にとっていかに大事かを表すシーンがあるが、パルプ・フィクションのブッチの金時計レベルに大事にしている)を無くしてしまう。その時の父親の反応を見ると、人の親になるということの重みを感じた。

最後に、彼に意識がある事に気づいた看護婦の愛の深さ。クロスのペンダントをしているのでクリスチャンだろうが、常にジョニーを人間として扱い、ジョニーの状況に共感し涙を流す。ジョニーが死を望んでいると知ると、人殺しの罪を自身が背負い彼を殺そうとする。

気に入ったシーンを並べると、本作は救いのないラストではあるが、それに匹敵する人間や自然の温もりをしっかり描いている。反戦という立場から悲惨さが強調されるが、とても良い映画だった。

 

 

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