ゆれる

カメラを構えるオダギリジョー

2006年公開の日本映画。74年生まれの女性監督、西川美和作品。評判通り面白かった。上京しカメラマンとして成功した自由な弟と、田舎に残りガソリンスタンドを継ぐ兄の兄弟間の感情を描く。

兄より弟のスペックがあらゆる面で高く、そこに芽生える嫉妬などの感情が包み隠さず描かれる。ドロドロしてるとまでは言わないが、以下は鋭いなと感じたシーン。ネタバレあり。

 

全てを知っている兄

弟が母の葬式のため里帰りする。実家のスタンドで働く兄。そのスタンドには、従業員として兄弟と幼馴染の女の子がいる。
どうやらその子は、以前は弟と関係があったようだ。今は職場が一緒のこともあり兄との関係が噂されており、弟もその流れを兄に勧める。

しかしいざ兄と仲が良い彼女を見ると、それに嫉妬し、弟は車で送るついでに彼女と寝る。帰りが遅かった弟に対し、兄は優しく「あれは結構しつこかったろ」と問う。弟はドキリとするが、酒の意味だと分かる。が、後に彼女は酒が飲めない事を知る。

洗濯物をたたむ兄

 

幼馴染の計算

特に明確に描写されるわけではないが、彼女はわざと仲がよい姿を見せつけた感じがする。その線で考えると、彼女は本当は弟の方が好きなのだろう、しかし世間的には兄との関係を迫られている。兄を保険としつつ受け身で状況を動かす女性らしさは面白かった。

楽しそうな兄と幼馴染

 

ブーメランで論破

所詮俺はつまらない人生だという兄に、弟はそんなことはない、立派だと告げる。
弟は全てを手に入れてはいるが、所詮逃げてばかりだと兄に告白する。
しかし「それはつまらない人生から逃げてるって事だろ」と瞬時に論破される。

つまらない人生から逃げている

 

幼な馴染みの事故死をめぐってストーリーは展開。最後までピシッと集中できる。キム兄の演技もよかった。

キム兄