200億の絵って・・・

ポロック White Light

愛知県美術館で開催中のジャクソン・ポロック展に行って来ました。

 

なんでそんなに高いの?

ポロック アクション・ペインティング

ジャクソン・ポロックという画家は今回初めて知りました。 何となく大物のような印象のポロック展のホームページ。まずは「ポロック展のみどころ」をチェック。ふむふむ。

見所をまとめてみると、目玉は評価額200億の絵が展示されるということ。

他の見所は以下の3つ。

  • 日本で初めてのポロック回願展
  • 日本とポロックの関係における記念碑的2作品
  • ポロックのアトリエ再現

という感じで、なんとも雲を掴むような気分。その気分を考察してみると、 「本来はポロックの絵そのものが見所であるはずなのに、2次的な評価額の高さや、展覧会の企画力をアピール」してるからかな?

 

ポロック 2人だけのアトリエ

エド・ハリス

アポロ13のエド・ハリス。知的です。

ポロックについて簡単に調べてみると、幸運にも映画が撮られていました。2000年のアメリカ映画で「ポロック 2人だけのアトリエ(Pollock)」という作品、なんと監督はエド・ハリスです。監督業してたんだ。

エド・ハリスと言えば、幾つかお気に入りに出演していますが、

  • アビスの海底油田の隊長
  • スターリングラードのスナイパー
  • トゥルーマン・ショーのメディア王
  • アポロ13の飛行主任
  • ザ・ロックのテロリストのリーダー

のような「組織に所属した知的な人」ってのがハマっている気がします。

 

ポロックの人物像

ポロックDVDパッケージポロックという人物は芸術家ですから、何となくエド・ハリスのイメージではないし、さらに監督ということは思い入れも強いのでしょう。俄然、映画として興味が湧いてきました。 早速アマゾンで購入、1,000円ちょいです。 ちなみに展覧会でも当然のようにこのDVDが売っていましたが、アマゾンの方が少し安いです。先にDVDを見たほうがきっと楽しめるので、行く予定のある方は要チェック。

映画の元となったのは、「画家ジャクソン・ポロックの伝記」という本なので、映画も伝記という感じでポロックの生活を中心に捉えています。彼が始めたペンキをしたたらせる「ドリッピング」という技法も、偶然見つけたという感じで描写されています。

面白いパートとして、売れない画家だった彼がライフ誌に掲載されてから売れっ子になり、ドキュメンタリーを撮影する事になるのですが、その撮影監督と冷ややかに衝突し最後に爆発します。その実際のドキュメンタリーが展覧会で見れるので、映画でチェックしてから実物を見ると笑えます。

しかし伝記だからか、この映画の中でもポロックの絵そのものは主体として捉えられず、あくまで彼の激動の人生が描かれます。

 

絵の中に入れるか否か

そんな状態で展覧会をじっくり見て回りました。 ドリッピングの絵の感想としては、どこを見ても色と形のバランスが整っていて、見る範囲を狭めても広げても、そこに意図があるかのようで、ずっと見ていられる感じ。禅のような調和のとれたバランスなどを感じます。 ポロック自身は、これを偶然やカオスではないと言っているけど、技法的に考えると、相当な制御はあると思うが、やはり偶然性が高いかなと。それを必然と捉えるのは哲学の領域ではないかと。という感想です。

ポロックという画家は、「彼の絵そのものに見所はあるものの、アメリカの近代美術界で戦った前衛画家の波乱な人生。」として着目する方が、より感慨深く、彼に近づける気がします。

ちなみに展覧会に行くまでポロックの人物写真を見たことはなかったのですが、いくら何でもエド・ハリスでは格好良すぎるだろうと思っていました。が、2人の容姿はよく似ていました。色々な意味で。

ポロックはハンサムです。

 

ポロック White Light 商品イメージ

MoMA ポロック アンブレラ White Light