般若心経に具体的に何が書いてあるのか知りたくなり、何となく楽しく学べそうだと本書を購入。テレビはあまり見ないので笑い飯さんは聞いたことがある程度でしたが、楽しく読めました。
読者ターゲットはごく一般的な若者。般若心経の解説をしている文章は何度か読んでいるが、読む気がなくなる程に難解な場合も多く、生きる上で大切な事が書いてあるのなら、正確な解説で難解になってしまい読み手のやる気を削いでは本末転倒。
だから本書のように、とにかく「とっつきやすく、分かりやすく」というのは嬉しい。
般若心経と西遊記の関係
本書で教えてもらった般若心経のウンチク。ドラマの西遊記は何度か見ていたので記憶にあったんだけど、あの一行が天竺に向かって何のために旅をしているのか知らなかった。
実は西遊記の三蔵法師は、中国から天竺(インド)に旅をして、仏教の経典「大般若経」を取りに行くという話だったのだ。そして、無事に大般若経を手に入れた三蔵法師が、サンスクリット語から漢文に訳し、さらに真髄のみを抜き出して266文字にまとめたのが「般若心経」だったのだ。
それで般若心経に何が書いてあるのか。と言えば、幸せに生きるための考え方が記されているのだ。三蔵法師のような人々を通し脈々と受け継がれた「幸せに生きるための考え方」。究極の自己啓発と言えなくもない。
般若心経を読み解く上で絶対に必要な知識
漢文なので、基本的に漢字の意味を追えば何とかなるんですが、どうしても訳せない場所がある。それはサンスクリット語から意味で訳さず音で訳した部分。音写。元のサンスクリット語のニュアンスが偉大すぎて、漢文に変換せずに、そのまま音で訳すのが一番だ!と三蔵法師は思ったのでしょう。
そして、その部分は
- 般若波羅蜜多(知恵の完成)
- 阿耨多羅三藐三菩提(この上なく正しい悟り)
- 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提娑婆訶(往ける者よ往ける者よ海岸に往ける者よ海岸に全く往ける者よ悟りよ幸あれ)
の3つ。
あと、固有名詞である人名も訳せないので知っておく必要があります。
- 觀自在菩薩(偉いお坊さん。釈尊ではない。この人が書いている。)
- 舍利子(觀自在菩薩の弟子)
般若心経は、舎利子の質問に觀自在菩薩が答えている文章です。漢字の意味をいくら追っても答えは見つからない上の5つは必須知識です。
般若心経
觀自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。 舍利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識亦復如是。 舍利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不淨不增不減。 是故空中。無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色聲香味觸法。無眼界。乃至無意識界。 無無明。亦無無明盡。乃至無老死。亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。 以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。遠離顛倒夢想。究竟涅槃。 三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。 故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。真實不虛故。 說般若波羅蜜多咒即說咒曰 揭帝揭帝 般羅揭帝 般羅僧揭帝菩提僧莎訶 般若波羅蜜多心經
般若心経のまとめのまとめ
すごく端的にバッサリと、何が書いてあるのかと言えば、とにかく「全ては空」だから、それを心底理解できれば幸せになれるYO!がんばれ!って感じ。
次に疑問に思うのは「空って何?」って事なんだけど、それだけで本一冊になるくらい簡単じゃないけど、
ゼロ。なにもない。
って事で、目で見えるもの、心で思ったもの、生と死、幸せや不幸、とにかく全てはない。なぜなら、全ては変化し続けるのだから。という感じ。
そーいう事を、知識として理解するんじゃなく、感覚的に腹の底から理解したら、それが悟ったという事のようだ。
全ては空である。という悟りを得るために、分子や原子でパズルのように構成された物理世界は、ただの組み合わせの結果であるという考え方で挑んだり、スピリチュアルや宗教などで精神世界の神秘に触れるなど、アプローチはなんでも良いのだと思う。