ビジネス書として面白そうに紹介されていたので読んでみました。著者は長谷川和廣さん。39年千葉県生まれで2,000社の赤字企業を再生。ケロッグジャパン、バイエルジャパン、株式会社ニコンなどで代表取締役も務める。
難しい言葉や理論は一切登場せずスラスラと読めますが1ページの密度というか重みは相当なもの。著者の長年の経験から得られた気づきが惜しげも無く書いてあるとも言えますが、その1ページでも出来たら成功者だよという感じです。
前半は広い範囲のビジネスマン向けの内容ですが、後半になると経営側の組織運用や舵取りについての内容となります。この本に書いてある内容を全て実施できたら、きっと一流企業の社長業が務まるのでしょう。
正論で反論の余地なし
本書の構成は1~2ページに1つのメッセージが入っており、全部で142あります。一つ目は「プロの仕事人になる5つの必要条件、3つの十分条件」で、この1ページだけでもオオォという感じ。こんな感じで、
- リーダーの心得え7か条
- あなたが本当の「人財」になるための8つの言葉
- 計画上手の人は6つの能力を持っている
- 仕事力をつける5つの心得
- 人脈を生み出す3つの要素とは?
などなど1ページで1冊の本になりそうな密度。書いてある内容も納得するほかない正論なので、それが出来たら苦労しないよ!と弱音の1つも言いたくなります。でもハードルは高くとも進むべき道筋というか、ビジネスの聖書的な感じかなと捉えました。
今回私が引っかかったポイント
- トリンプの社長を務めた吉越浩一郎さんの名言「TTP」(Tettei Tekini Pakuru!)
- 負の連鎖を抜け出す為の薬は成功体験。でもなかなか成功できないのなら、せめて成功者の真似をしてキッカケとする。
- ピンチは短期間で一気に脱出。慢性赤字の会社を著者が「3ヶ月で黒字化する!」と宣言して実行させた。改革は長期だとだらけるから短期間の方がいい。
- 楽して生きる最大の鉄則は何が何でも1番を目指す!(シェア1位ほど楽な状態はない)
- プロジェクトを成功させたい人は村おこしの法則に学べ!村おこしが成功する鍵は「若い世代」「イベントにのめり込む人」「よその地域の人」の3つ。
- 相手の目を見て話せば話すほど営業はうまくいかない。人と話す時は目を見て話せとよく言われるが、日本人は基本的に目を見つめられる事は苦手。
- 営業トークを磨こうとするな!営業の決め手は聞く力だ これはよく言われることだけど。営業というより人間関係のコツだと思う。
ピックアップしてみると随分沢山ありました。著者とは生きる世界がまるで違うのに、これだけ心に引っかかるという点に本書の懐の深さを感じます。著者の実績や年齢で内容を鵜呑みにするのは危険ですが、内容と反比例した読みやすさは凄い。