アマゾンで『中華アンプ』を検索すると、プリアンプなのに上位表示されてくるのが『TUBE-01J』。NFJの大ヒット商品です。
プリアンプはそれだけではスピーカーを駆動できないので、別途普通のアンプ(パワーアンプ)が必要になります。 つまりプリアンプは無くてもスピーカーは鳴らせます。プリアンプは音質を向上させるためのものです。
果たして『TUBE-01J』によって、どれほど音が変わるのか?音質の向上は見込めるでしょうか?
パッケージ
NFJ製品は超シンプルなパッケージングです。中身は本体と説明書ペラ1枚のみ。真空管は外された状態で梱包されていました。
本体を箱から出して、最初に真空管の取り付けですが、説明書どおりに真空管の端子と本機ソケット側の端子が合う向きに合わせ、まっすぐに差し込みます。
奥まで差し込んでもロックがかかったりはしないので、「これでいいのかな?」って感じの差し込み具合になりますが、ちゃんと真空管が自立すれば、それでOKという感じ。
説明書には、真空管についての注意事項やトラブルシューティングが載っているので、一通り目を通しておきましょう。環境によってはハムノイズが入ったりもするようですが、うちは大丈夫でした。
予備の意味も込めて、一緒に軍用規格の真空管も注文しました。特級グレードの高精度選別管ということで、音の変化も期待できるとのこと。
外観
本機はプリアンプなので、音を鳴らすには別途パワーアンプが必要になります。
視聴には同じNFJのデジタルアンプ『FX202A/FX-36A PRO』を用いました。2台縦に設置するとコンパクトにビシッとキマっていい感じ。高級感もあります。
薄暗くしたところ。シャッタースピード長めなので、目視だともっと淡い光です。
『FX202A/FX-36A PRO』の青いボリュームライトも相まっていい感じ。
軍用真空管
軍用の真空管ですが、見た目からして結構違いました。
左が付属の真空管で、右が軍用です。付属のほうは形がいびつでガラスが変色しています。
こちらが付属の真空管で、
こっちが軍用。形が均一なのが伝わるでしょうか?(ちなみに、このページの写真は全て軍用を使っています)
いつも常設設置するのなら、見た目的にも軍用を使っていたいかな・・・と思わせるものがあります。ちなみに肝心の音の違いは私にはあまり分かりませんでした。見た目や気持ちの問題が大きいかもです。
ノーマル6J1と軍用の違い
先日、初めて違いが分かりました。ヘッドホン+ノーマル6J1で聴いていた時は、小さな音でジーーとか、プ・プー・プみたいなハムノイズが左右チェンネル共に入っていたのですが、軍用に変えたらそれが激減しました。ちなみにスピーカーでは聞き取れないレベルの音量です。音質の聞き分けは難しいのですが、ノイズはすぐに分かりました。
視聴
『TUBE-01J』+『FX202A/FX-36A PRO』
Source
- iPod touch 6th
SP
- DALI SPEKTOR1
- PMC TB2SM
デジタルアンプ『FX202A/FX-36A PRO』に本機を追加すると、音はどうなるか?
音はかなり変化します。音にツヤが出て響きが美しくなります。音の細部にまでパワーが行き渡るような、より『感情に訴える成分』が増すような感じ。本機なしに戻すと、ちょっと物足りなくなります。
写真にはありませんが、視聴は自作ラインセレクターをパチパチ切り替えて行っています。切り替えを数秒単位で行っても、「少し中域に厚みが増したかな?」くらいの印象で、正直あまり変化が分かりません。でも数十秒・曲単位で比較すると「かなり違うぞ」となります。つまり時間軸での変化が大きいようです。
『TUBE-01J』+『SMSL SA-98E』
アンプを『SMSL SA-98E』に変えても、同じ傾向で変化します。
でも『SA-98E』のほうが、より変化を感じやすい気がする。アンプの性能的に音の密度やパワーが高い場合、より響きが美しく強調されるような。いつも使っている『DENON PMA-2000IV』も変化率が大きいです。
どうやら一度真空管の音に慣れてしまうと、耳が肥えるのか、真空管の変化成分をキャッチしやすくなります。ブラインドテストでも、数秒で本機あり・なしを聞き分けられます。良くも悪くも『真空管の響き』になる。って感じ。
個人的にはかなり好ましい変化だったので、うちのメインシステムに常設が決定しました。真空管パワー恐るべし。
実際に録音してみました
真空管あり・なしで録音したものをYouTubeにアップしてみました。下のプレイヤーで2つの動画をシンクロ再生&音を簡単に切り替えられるので比較しやすいかと思います。緑色の再生ボタンを押した後、スピーカーのアイコンで音を切り替えられます。上の動画が「真空管なし」、下が「真空管あり」です。
真空管の仕事
なぜ真空管で音にツヤがでるのか。憶測ですが写真で考えてみました。解像度の高い音を写真で表現すると、こんな感じだと思うんです。
これは、マグカップをISO1600で撮った写真なんですが、解像度は高いですが粒子が目立ってノイジーです。
これに『ぼかしフィルタ』をかけると、
こうなります。解像感は失われてしまうけど、ツヤが出ます。好みの問題ですが、どちらが美しいでしょうか。
まさに真空管ってこんな仕事をしてるのかな?って感じました。
中華アンプ音質一覧
モデル | 音質 |
---|---|
『Lepy LP-2024A+』レビュー全域フラットだからか中域に厚みが足りず迫力に欠ける感じがする。加えて音の広がりもSA-98Eと比べると狭い。逆に言えば、中域〜高域に意識を集中しやすいかも。 | |
『ELEGIANT Bluetoothアンプ』レビュー柔らかくて聴きやすい音。迫力という意味では他のデジタルアンプに負けるかもしれないが、とても自然な音に感じる。音場も広く包まれる感じがある。長時間聴くならこの音を聴いていたい。バランスのとれた音。 | |
『NFJ TUBE-01J』レビュー真空管プリアンプなので、他のアンプと組み合わせて使う。音はかなり変化して、音にツヤが出て響きが美しくなる。『感情に訴える成分』が増すような感じ。オーディオの奥深さが垣間見える。 | |
『NFJ TUBE-02J』レビュー真空管ヘッドホンアンプ。TUBE-01Jのヘッドホン対応版とも言える。TUBE-01Jで真空管に目覚めたので02Jも購入しました。音の傾向はTUBE-01Jと同じ。プリアンプとして使っています。 | |
『NFJ FX202A/FX-36A PRO』レビュー基本的にLP-2024A+と似た音だが、プラスして音に厚みと密度が加わり、アナログっぽさが増して聴きやすい。SA-98Eほどの力強さはないので、SA-98Eの弟分といった感じ。NFJの真空管プリアンプと合わせたい。 | |
『SMSL SA-98E』レビューこの中では一番高価なだけあって音質もよい。音に密度と厚みがある。低域もよく出るので場の量感も感じる。これなら数万のアナログアンプと互角の音質と言ってもよさそう。トーンコントロールほか余計な機能は一切ないが、アンプ自体の質感は高い。 | |
『Lepy LP-V3S』レビューLP-V3Sだけアナログアンプ。中域を全面に押し出してくるので、空間表現や細かい音を楽しむというより、ボーカルのようなメイン所をしっかり聴くのに最適な味付けという感じ。 |
中身をチェック
中はこんな感じ。真空管は電球色のLEDで下から照らされています。
LEDを好みの色に変えたり、抵抗やコンデンサのグレードを上げたり改造できそうです。
まとめ
ピュアオーディオって、信号の精度が落ちるから、基本的に余計なものは間に挟まないほうがいい。だから今回みたいな真空管プリアンプって、解像度が落ちるだけで良くはならないだろうって思ってました。
でも実際に聴いてみると、真空管の音のほうが感動できる。改めて「いい音って何だろう?」ってなりました。
真空管による音の変化って、「倍音成分が豊かになるので弦楽器や声の響きがよくなる」とか、色々言われていますが、 結局は他人の感覚ってどこまでいっても分からないものだから、とにかく自分で試してみるしかない。
個人的には真空管に目覚めたような形になりましたが、でもやっぱり好みだと思うので、ちょっとでも気になった方は『TUBE-01J』、ぜひ試してみて下さい。5,000円前後の商品ですが、私は価格以上の価値を感じました。
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