異次元のコスパ『ELEGIANT Bluetoothアンプ』レビュー

ELEGIANT Bluetoothアンプ

アマゾンで中華アンプを探すと、ベストセラー1位がこの「ELEGIANT Bluetoothアンプ」。購入時の価格は3,599円でした。

ELEGIANTって聞いたことないブランドだけど、BluetoothアンプでもしっかりUSBとアナログ入力を備えていたり、小さな本体のわりに良さそうなスピーカー端子が付いてたりして、何か期待させるものがある。

他の中華アンプに比べても異質な一台。その実力はいかに。

 

最初に

このアンプには具体的な名前がないみたいで、調べてみると、ELEGIANTブランド以外からも販売されているみたい。OEMモデルなんですね。

ELEGIANT以外の販売ブランド

  • Pastop
  • Nobsound
  • Drok
  • Mo-gu

ELEGIANTからは他にもアンプが販売されているので、区別するためにも、この記事ではこのアンプを「F900」と呼称します。由来はBluetoothデバイス名からです。

 

パッケージ


F900のパッケージ

パッケージはダンボールにシールが貼ってあるだけ。Lepyに比べるとちょっと寂しい。でも中身は充実しており、本体とACアダプター、説明書のほかに、3.5mmステレオミニプラグと1.5mのRCAケーブルもついてきました。

F900の説明書

説明書は英語と中国語でこんな感じ。アマゾンの販売ページの方が充実してるレベルの説明だけど、一応内容としては。

MEMO

USB sound card, connecting it with USB cable to computer/Laptop, lossless sound, don’t need driver or connect to audio signal cable.

BluetoothではなくUSBケーブルやAUX端子で接続するとロスレスで高音質。ドライバーも不要。

MEMO

Power input, DC9V-24V range is available(Voltage/V x Current/A = Watt/W, for example: 12V x 5A = 60w, this device lowest power must be => 50w power supply, if it meet outage problem the reason is the power too small, please change larger power or decrease volume to use)

入力電源はDC9-24Vが利用可能。(電圧/V × 電流/A = ワット/W、例えば12V × 5A = 60W、このデバイスの最低電力は50W以上でなければなりません。停電問題が起きた場合は電源が小さすぎるので、より大きな電力を提供するか、使用する音量を下げてください)

とのこと。ついてきたACアダプターを使っていれば問題はないですね。

 

かわいいデザイン

F900の写真1

オーディオ機器というよりもっとカジュアルなデザインなので、手軽にどこにでも置けそうです。

本体の質感もとても良く、安っぽさを感じない。材質はアルミで、ツマミにも適度な重みがあって高級感があります。小さな本体のわりに大型のスピーカー端子が所狭しと並んでるのもかっこいい。

F900の写真2

LEDの発色にも品があったり、AUX端子が緑色だったり、細かい所に気が利いてる。iPhoneと並べて置いても質感的に負けてません

あと細かな配慮としては、電源投入時に音楽が鳴ったり、Bluetooth,PC,AUXモード切り替え時に音声で教えてくれます。

 

Bluetoothモード

F900とiPod

本体にACケーブルを挿して電源スイッチを入れれば、自動的に「Bluetoothモード」になります。

既にスピーカーケーブルを接続していれば、起動音楽の後に、女性の声で「Bluetoothモード」と発声してくれるんですが、初回起動時は、どれほどのボリュームで音が出るのか分からないので、ボリューム0で起動するのが安全です。

iPhoneとBluetooth接続

iPhoneの『設定 > Bluetooth』に「F900S」が現れるので、タップして接続する。あとはiPhoneの全ての音がF900から流れるようになる。

iPhoneでBluetooth設定画面

MacとBluetooth接続

Macの『システム環境設定 > Bluetooth』に「F900S」が現れる。

MacでBluetooth設定

あとは『システム環境設定 > サウンド』から、出力を「F900S」に切り替えれば、Macの音は全てF900から出力される。

Macでサウンド出力設定

ちなみにアマゾンの説明によると、Bluetoothデバイス名が「F900 Music play」の場合もあるみたい。製品バージョンによって違うんでしょうね。

 

PCモード

PCとUSBケーブルで接続すると自動的に「PCモード」に移行します。この時、Bluetoothが何かとペアリングしていても、強制的にPCモードに移行します。

PCモードの場合、F900は外付けDAC+アンプとして機能します。デバイス名は「USB2.0 Device」。ドライバは必要ないのでPCと接続すれば自動的にサウンドデバイスとして認識されます。

Macでサウンド出力設定

 

AUXモード

F900のAUX端子

AUX端子に3.5mmステレオミニプラグを接続すると「AUXモード」になります。AUXモードは「Bluetoothモード」や「PCモード」よりも優先順位が高いので、3.5mmステレオミニプラグを挿せばいかなるモードであっても「AUXモード」に突入します。

この場合は、F900は純粋なデジタルアンプとして機能することになります。ちなみにデジタルアンプICは「Texas Instruments製 TPA3116」のようです。

 

視聴

F900とDALI SPEKTOR1の写真

視聴環境

Source

  • iPod touch 6th
  • Audirvana Plus – PCモードの視聴にはAudirvanaを使用。AudirvanaにはF900は48kHzのみ対応するDACとして認識された。
    Audirvana設定

SP

  • DALI SPEKTOR1

結論から言うと、このアンプは値段からは想像できない、レベルの高い音がする。デジタルのパワーが全域に生かされつつ、それでいてデジタル臭さを感じさせないバランスがよい。

Bluetoothモードは、有線の煩わしさがなく手軽だが、Bluetooth規格そのものがボトルネックになってしまって、音質はあまり良くない。

F900のBluetooth規格は「Ver.4.0+EDR」で、コーデックはA2DP標準の「SBC」のみ。より高音質なAACやapt-Xには対応していない。 SBCのビットレートは最大328Kbpsだが、現実的には環境により左右されるので、事実上64~約200kbps程のようだ。 SBCの音声圧縮方式はMP3の前のコーデックである「MPEG-1 Audio Layer II(*.mp2)」がベース。

F900のBluetoothモードの音質は、128kbps程のMP3に近いかなと感じた。128kbpsのMP3の音は、ノッペリと平面的で、低ビットレートの圧縮音源特有のシャリついた感じになる。

しかしF900の本当の性能は、PCモードかAUXモードで発揮される。BluetoothモードとPCモードで同じ音源を比較すると、音が一気にクリアになって奥行きが増す。F900に内蔵されているDACのチップは不明だが、一般的なPCの標準サウンドデバイスよりは音質の向上が見込める。

試しにMacのヘッドホン出力をF900のAUXモードにアナログ入力した場合と、PCモードでMacとUSB接続した場合を比較したが、一聴して、PCモードの方が音圧が高く艶があると感じた。比べるとMacのヘッドホン出力の音はやや軽く感じる。

ただ一点、個体差かもしれないが、無音時にボリューム9時〜15時くらいにホワイトノイズが入る。これは残念。

 

中華アンプ音質一覧

モデル音質
Lepy LP-2024A 商品イメージ

『Lepy LP-2024A+』レビュー

全域フラットだからか中域に厚みが足りず迫力に欠ける感じがする。加えて音の広がりもSA-98Eと比べると狭い。逆に言えば、中域〜高域に意識を集中しやすいかも。
ELEGIANT Bluetoothアンプ 商品イメージ

『ELEGIANT Bluetoothアンプ』レビュー

柔らかくて聴きやすい音。迫力という意味では他のデジタルアンプに負けるかもしれないが、とても自然な音に感じる。音場も広く包まれる感じがある。長時間聴くならこの音を聴いていたい。バランスのとれた音。
TUBE-01J 商品イメージ

『NFJ TUBE-01J』レビュー

真空管プリアンプなので、他のアンプと組み合わせて使う。音はかなり変化して、音にツヤが出て響きが美しくなる。『感情に訴える成分』が増すような感じ。オーディオの奥深さが垣間見える。

TUBE-02J 商品イメージ

『NFJ TUBE-02J』レビュー

真空管ヘッドホンアンプ。TUBE-01Jのヘッドホン対応版とも言える。TUBE-01Jで真空管に目覚めたので02Jも購入しました。音の傾向はTUBE-01Jと同じ。プリアンプとして使っています。

FX202A 商品イメージ

『NFJ FX202A/FX-36A PRO』レビュー

基本的にLP-2024A+と似た音だが、プラスして音に厚みと密度が加わり、アナログっぽさが増して聴きやすい。SA-98Eほどの力強さはないので、SA-98Eの弟分といった感じ。NFJの真空管プリアンプと合わせたい。

SMSL SA-98E 商品イメージ

『SMSL SA-98E』レビュー

この中では一番高価なだけあって音質もよい。音に密度と厚みがある。低域もよく出るので場の量感も感じる。これなら数万のアナログアンプと互角の音質と言ってもよさそう。トーンコントロールほか余計な機能は一切ないが、アンプ自体の質感は高い。
Lepy LP-V3S 商品イメージ

『Lepy LP-V3S』レビュー

LP-V3Sだけアナログアンプ。中域を全面に押し出してくるので、空間表現や細かい音を楽しむというより、ボーカルのようなメイン所をしっかり聴くのに最適な味付けという感じ。

 

さらに高音質に

F900とMacBookとMojo

視聴環境

Source

  • Audirvana Plus + Chord Mojo

SP

  • DALI SPEKTOR1

PCモードが思いのほか高音質だったので、F900とはかなり価格帯が違うが、AUXモードで「Chord Mojo」を入れてみた。デジタルアンプIC「TPA3116」の性能が確かならば、PCモードとの差が分かるはずだ。

音を出してみると、やはり本体DACより高音質になった。全ての楽器が生き生きとして、低域が音楽全体を包み込み、場を演出する。つまり本体DACの範囲外の音も、ちゃんと増幅しているという事になる。

「TPA3116」は他のデジタルアンプに見られる「全域をフラットに増幅した理想音」ではなく、「ちゃんと音楽を楽しめるチューニング」がされている感じがする。ただ欲を言えば、まだデジタルっぽさ、ドライな感じもする。

これだけ高音質なら、F900はデジタルアンプ部だけでも値段の価値があると思う。

 

まとめ

このアンプは製品としてとても優秀。値段から考えると「音的にはあまり期待できないかな」というのが本音だったが、正直、視聴して驚いた。

質感もしっかりしてるし、Bluetoothモードもちゃんと実用に耐える。さらに高音質にしたいユーザーへのキャパも備えている。楽しいアンプだと思う。

ただ中華アンプは改造も含めて楽しかったりするが、その点ではF900は向いてなさそうだ。

ELEGIANT Bluetooth アンプ 商品イメージ

Bluetoothアンプ ELEGIANT ステレオ スピーカー パワーアンプ デジタルアンプ ベース 増幅器 HI-FI 音質 100W 大出力 超小型

 

アンプの視聴で使っているスピーカーは、DALIのSPEKTOR1。小さいのにサイズを超えた音。低音、高音が物足りないのはブックシェルフだから仕方がないけど、中音域は艶っぽく気持ち良い音がします。