音楽スタジオの標準ヘッドホンとしての地位を確立しているソニー『MDR-CD900ST』。実売価格は1万5千円ほど。アーティストのPVなんかでも目にすることが多いし、プロ仕様という言葉にテンションが上がる人にはたまらない一品です。
複数人で作業するプロの現場では、機材の統一というのは必須条件。皆がバラバラのヘッドホンを使っていては、音の印象がバラついて作業が円滑に進みません。
そんな業界標準というポジションに立つには、丈夫で安くて音が良い。という条件が求められますが、1989年の発売からその立場が揺るがないロングセラーの『MDR-CD900ST』、その実績に期待が高まります。
パッケージ
パッケージは余計な装飾一切なし。シールに「この商品は音楽スタジオでの業務使用を目的としたプロフェッショナル仕様のヘッドホンのため、無償修理期間は設定せず、全て有償での修理とさせていただいております。」とあります。個人で買う場合には注意が必要です。
私はサウンドハウスで購入しましたが、サウンドハウスは初期不良には対応してくれるそうです。
中身は説明書もなくシンプルの極み。小売のための豪華なパッケージや保証は一切なし。要は中身ということでしょう。
本体が透けて見えます。思ったより質感が高そうで楽しみです。
外観
箱から出した第一印象は、値段以上の質感という感じ。ハウジングのシルバーの縁取りとSONYのロゴから、知的で精密な印象を受けます。
全体のシルエットには、やや古臭い感じを受けるものの、むしろ好感が持てるデザインです。アンティークとまでは言わないものの、一つ一つのパーツや剥き出しのケーブルなどに古さを感じます。このDIGITALのフォントとか一周回って新鮮に見えなくもない。
アーム部分には数字が刻印してあります。個人的には嬉しい仕様で、私はいつもしっかり同じ位置に合わせないと嫌なんですよね。私は頭が大きいのでマックス11の位置でぴったりです。
あと右は赤、左は青に色分けしてあるのも好きな仕様です。装着する時に素早く確認ができます。この仕様は世界統一規格のようで、Right = Red, Left = bLueからだとか。
ヘッドバンドには金色で「STUDIO MONITOR」とあります。キタコレ。
プラグは6.3mm標準プラグ。とても頑丈そうです。3.5mmミニへの変換アダプタは付属していないので、別途用意する必要があります。
私は最初AKG K701についてきた変換アダプタを使っていましたが、これだと巨大になりすぎてプレイヤー側に負担が大きそうなので、別途ケーブルタイプの変換アダプタを購入しました。
MillSOというブランドの変換ケーブル。かなり頑丈な作りです。これでアンプ側の負担は減らせそうです。
使用感
まず装着感ですが側圧が絶妙でした。持っているヘッドホンの中でも一番絶妙な側圧です。使い込んでいったら緩くなるのは必須でしょうが、現時点でもあまり耳が痛くなりません。重量が200gと軽いのも大きな要因だと思います。
インピーダンス | 63Ω |
---|---|
感度 | 106dB |
再生周波数帯域 | 5-30,000Hz |
コード長 | 2.5m |
プラグ | 6.3mm標準 |
質量 | 約200g |
あとハウジングが小さいのでメガネと干渉しにくいのもいいです。イヤーパッドが大きいヘッドホンだと、どうしてもメガネフレームと当たってしまうので、パッドの上にフレームを載せる感じで使うので、レンズが下向きに傾斜するんですが、本機はあまり斜めになりません。
ちなみに、メガネフレームの横からパッドを押し当てるスタイルだと、頭が痛くなってしまうんですよね。
ハウジング部分が180度ひっくり返るのもプロっぽくてカッコ良いです。わざわざヘッドホンをかけなくても音が確認できてDJっぽい。音楽鑑賞という用途では関係ないかもしれませんが。
音質
音の印象は、キッチリ、ビッシリ、密度が高く、細かい音まで逃さず出てきます。ドライバーが耳に近いのでビシバシ聞こえてきます。ボーカルも力強く前に出てきて気持ちよく聞けます。
でも、このヘッドホンは音楽を気持ちよく聞くためのものではなくモニター用で、それはつまり小さなノイズなどのアラを探すための道具とも言えるので、全ての音が前面に出てきます。そのため人によっては聴き疲れするかもしれません。
iPhone Xsで聴く
iPhone Xsに純正のLightning to Headphone Jackを差して聞いてみると、普通に聴けますし音量も問題ないです。ただ低域、高域どちらも伸びが少なく、ちょっと硬い印象。iPad Proのヘッドホンジャックとも比べてみましたが、iPadのほうが生き生きした音のように感じました。
非純正のLightning to Headphone Jack
iPhone7から消えてしまったヘッドホンジャックを復活するアクセサリー『Lightning to Headphone Jack』。私は非純正の中華製も一つ持っていますが、音に注目して比べてみると、やはり純正の方が音が良く感じます。
このアクセサリー、こんなに小さいのに、実はこの中にDACとアンプを搭載してる精密機械なんです。値段的にも「純正じゃなくても良いかな?」と思いがちですが、音にこだわるのなら純正をお勧めします。
FiiO Q1 Mark IIで聴く
お次は人気ポータブルアンプ『FiiO Q1 Mark II』で聴いてみます。こちらも当然ながら余裕でMDR-CD900STを鳴らします。スペックからも分かる通り、MDR-CD900STはかなり鳴らしやすいヘッドホンなので、余程非力なアンプじゃない限り、十分な音量が取れると思います。
iPad ProやMacBookなど、APPLE製品に標準でついているヘッドホンジャック(上のLightning to Headphone Jackは除外)って、昔から結構良い音で、音楽を生き生きと表現する印象なんですが、FiiO Q1 Mark IIの音質は、そのAPPLE製品よりもやや情報密度が高く音が安定している印象を受けました。
Mojoで聴く
値段的に当然かもしれませんが、Mojoをアンプに持ってくると音の響きや余韻が変わってきます。高級な音というか、品がある音になります。
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MDR-CD900STは改造が熱い
MDR-CD900STは業務用だけあってアフターパーツが豊富です。
ビス一つから注文できますが、まず間違いなくお世話になるのはイヤパッドでしょうか。このタイプのイヤパッドは2〜3年くらいでダメになりそうですが、クラシックプロというイヤパッドは両耳合わせて1,000円くらいなので、ありがたいですね。
ヤクシーというメーカーのイヤパッドも良さそうです。クッション性が純正よりも高く、ブルー&レッドに縁取りされており利便性も高そうです。
あと面白いのはMDR-V6/MDR-7506用のスライダーを取り付けることで、折りたたみ式に改造できるみたいです。
上の写真はMDR-7506ですが、折りたたみ仕様に惹かれながらも、やっぱり定番のMDR-CD900STを選んだ人も結構いると思うんですよね。改造しちゃえば両立できます。
どうせ無償修理期間がないMDR-CD900STですから、思いっきり改造して楽しむのも愛着が湧いて良さそうです。
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