AKG(アーカーゲー)の代表作とも言える「K701」。2006年発売当時はAKGのフラッグシップとして定価は8万円超え。K701はPerfumeの中田ヤスタカが使っていたり、アニメ「けいおん!」にも登場したりして大変な人気でしたが、私は指をくわえて眺めてるだけでした。
その後、K702、K712などの後継Kシリーズが続々発売。一方、K701は大幅に値段を下げて、今はなんと1万円台で購入できます。奥さん、15年前の最上位機種がこの価格ですよ!という訳で、名機と名高いK701の実力を探っていきたいと思います。
外観
まず外箱の立派さにビックリしました。箱の中身が見えるお洒落な構造で、中にはスタンドに載った本体が見えます。K701は値段が安くなったからといってクオリティが落ちている事は全くないそうで、安くなった大きな理由は、製造国がAKGの母国オーストリアから中国に移動したからみたいです。
余談ですが、パッケージで対照的なのはMDR-CD900ST。MDR-CD900STは業務用なので箱はただの段ボールです。プレゼントとかならパッケージングも一つの比較要素になりますね。実際、私はなりました。
本体サイズは他のヘッドホンと比較して大きめ。それもそのはず、K701はイヤーパッドに耳がすっぽり収まる構造なのです。その割に重さは標準的なので、見た目の割には軽いという印象を持ちました。耳をすっぽり覆うヘッドホンは珍しいですが、効果は劇的で、長時間使っていても耳が痛くなりません。
インピーダンス | 62Ω |
---|---|
感度 | 93dB |
再生周波数帯域 | 10-39,800Hz |
コード長 | 3.0m |
プラグ | 6.3mm標準 変換アダプタ付属 |
質量 | 約235g |
AKGのロゴがエンボス加工されたヘッドバンドは本革だそうです。この大型のヘッドバンドとハウジングのお陰で、ユニクロのエアリズムじゃないですが、まるで空気のような。と言えばやや大袈裟ですが、まるでヘッドホンを着けていないような、やけに開放感のある着け心地を味わえます。この優しい装着感こそ、K701がリスニング用ヘッドホンと言われる理由の一つなんでしょう。
ヘッドホン側面は、ヘッドバンドをスライドさせるための機構になっています。白のプラスチックな質感からは、やや安っぽさも感じますが、これは価格が安くなったからという訳ではなく、発売当時から同じのようです。
ちょっと見にくいですが、黒いゴム紐でヘッドバンドを伸縮させています。この部品は消耗品のようで、数年使ってくるとヘタってくるらしいのです。ちょっと残念なポイント。
イヤーパッドはフカフカのベロア素材。照明の都合上、やや赤みがかかって見えますが実際は灰色です。この耳全体をすっぽりと覆う大口径のイヤーパッドを一度味わってしまうと、他のヘッドホンはやけに耳を圧迫するように感じます。もうあの頃には戻れないのね。
付属品
K701は6.3mm標準ジャック仕様で、3.5mm変換アダプタが付属します。この変換アダプタはゴールドで高級感はあるんですが、プラグ部分が大きくなってプレイヤーに負担が大きいので、私は別途ケーブルタイプの変換アダプタを購入して使っています。
MillSOというブランドの変換ケーブル。かなり頑丈な作りです。これでアンプ側への負担が減らせます。
音質
with iPhone 11 Pro
実はK701は「鳴らしにくいヘッドホン」だと言われています。つまりちゃんとしたアンプが必要だという事ですが、iPhone単体でも思ったより悪くない。考えようによっては十分な音質で鳴ってくれました。K701は独特の艶というか張りがある音で、それには高級感というか、高音質な印象を受けました。
耳がすっぽり覆われる&開放型なので、特別な空間で聴いているような視聴感です。まるでスピーカーで聴いている、とまでは言えませんが、ヘッドホンの密閉された感じがなく、広い空間表現を味わえます。
音量はボリュームMAXにするとやや大きいかなという感じ。これだけ聴いてれば何も不満を感じないと思いますが、下の方で比較しているヘッドホンアンプに比べると、細かい音の存在感が薄くて、音の密度も荒く乾いたような感じがします。ボーカルにはちゃんと乗れるんですが、声の伸びが弱いかな。
非純正のLightning to Headphone Jack
iPhone7から消えてしまったヘッドホンジャックを復活するアクセサリー『Lightning to Headphone Jack』。私は非純正の中華製も一つ持っていますが、音に注目して比べてみると、やはり純正の方が音が良く感じます。
このアクセサリー、こんなに小さいのに、実はこの中にDACとアンプを搭載してる精密機械なんです。値段的にも「純正じゃなくても良いかな?」と思いがちですが、音にこだわるのなら純正をお勧めします。
with FiiO Q1 Mark II
人気のポタアン『FiiO Q1 Mark II』で聴いてみると、ボリュームMaxでもちょっと音量が小さい印象。K701を鳴らしきれないみたいですね。ちょっと音量が小さいので迫力は薄いですが、音質自体はiPhoneよりも高密度になってやや艶っぽく感じる。ボーカルもiPhoneより伸びがあるかな。
with TUBE-02J
NFJの真空管ヘッドホンアンプTUBE-02JをiPhoneに追加してみます。ボリュームはiPhoneがMAX、TUBE-02Jが12時半くらいで視聴しました。真空管アンプを追加してみると、iPhone単体で感じた弱点がなくなる感じで、音に響きと艶が出て高級っぽくなり、小さな音の存在感もアップします。K701は相応のパワーを与えてあげれば、ずっと生き生きするのが分かります。
with Chord Mojo
最後にポタアンのMojoを使ってみると、やはりMojoには独特の繊細な響きがあるのが分かります。細かい音の存在感が増すだけでなく音の分離も良いので、小さな音に集中できるようになります。だから音の余韻や世界観に浸れる。Mojoはアンプの重要性を教えてくれるマシーンです。
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まとめ
K701は超優等生という感じでした。リスニングヘッドホンと言われるだけあって着け心地は最高。加えて独特の張りのある高音質感と空間表現。そして値段は謎の1万円代。全く隙がありません。
例えば音質に着目すると、私は同価格帯のヘッドホンDT990PROの方がリアルで好みなんですが、その代わりにDT990PROは音が平面的なので、オーケストラのような広大な音場の再現はK701に軍配が上がります。
K701は最初のヘッドホンにも最適だし、長時間ヘッドホンを装着し続ける人や、リラックスして音楽を楽しみたい人など、万人にオススメできる一台だと思いました。
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