既に絶版の「リチャード・カールソンの楽天主義セラピー」の感想です。著者は「小さいことにくよくよするな!」で有名ですが、本書は「思考と気分のメカニズム」の解説が素晴らしいと評判だったので、アマゾンで中古を買って読んでみました。
「小さいことにくよくよするな!」の方は100のアドバイスから構成されており、どこからでも手軽に読めるスタイル。私も読みましたが、私には楽天主義セラピーの方が数段向いていました。おそらく物事を仕組みから理解したいタイプの人に向いてます。
不機嫌な日がかなり減りそうです。
どんな内容?
気分とは、自分のネガティブ思考によって落ち込む。誰かの発言や行動、天候や環境などはきっかけにすぎない。何も考えなければ自然本来の働きにより気分は上向く。思考は次々と湧き出るもので止められるものではない。唯一我々が出来ることは湧き出たネガティブ思考を追わない事。
考えを追わない。「そんなの出来たら苦労しないよ」とか「思考停止じゃん」とか思うが、湧き出る思考は止められないが追わない事は訓練で誰でも可能。それにネガティブな思考のみを追わないので思考停止にはならない。
自然本来の働きとは子供の無邪気なパワー。自分が否定的になっていたら気をつける。
否定的な心のとき | 自然本来の働き |
---|---|
過去や未来に生きる | 一瞬一瞬に生きる |
人生がどうしたらよくなるかに焦点を合わせる | 喜びに焦点を合わせる |
頭は心配や懸念でいっぱい | 頭はすっきりして自由 |
悪をみる | 善をみる |
どうしたらよくなるかにこだわる | あるがままの幸せ |
人生を分析する | 人生を経験する |
しがみつく | 手放す |
コンピュータ的思考 | 自由に流れる思考 |
自分に何ができないかに焦点を合わせる | 自分に何ができるかに焦点を合わせる |
失敗にこだわり、これを繰り返す | 失敗から学び、前進する |
閉鎖的で偏見がある | 開放的でものごとを受け入れる |
否定的な態度 | 肯定的な態度 |
否定的な時より肯定的な時に問題解決を考えた方が上手くいくのは当然。否定的思考から得られるものは、憂うつ行きの片道切符。
瞑想・メディテーション
近年、ライフハックなどで瞑想が人気なのはもちろん効果があるからで、無心になれれば自然本来の働きによって気分は上向く。
否定的な時は「ポジティブに考えなくちゃ!」とか思うが、これは無理な話。否定的な時はポジティブに考えられなくて当たり前。ポジティブな考えは自然本来の働きによって自分を落ち込み状態から引き上げれば自然に出てくる。
例えばハイキングで、澄んだ空気と気持ちのよい風、森の匂いなどに癒され、平和な気分で満足しているとする。 すると遠くから犬か狼の鳴き声が聞こえ始め、だんだん大きくなるとする。 「狼だろうか?」「危険はあるだろうか?」「怖い」「来るんじゃなかった」などと思考の連鎖が始まれば、 先ほど感じていた満ち足りた気分はあっという間に消え失せる。これが思考の力。
思考で傷つく必要はない
思考はあなた自身ではなくただのツール。それによって傷つけられる必要もなければ焦る必要もない。思考を操っているのは自分であり、自分が運転席に座っている。
気分が落ち込むことはある。それ自体は問題ではない。その時の思考が問題。なぜなら落ち込んだ時の思考は否定的・悲観的なので、人生やそれに含まれる一切が悪く見え始める。さらになぜこんなに気分が悪いかという分析を始め、そこでどれほど的確な分析が出来たとしても、 その結果は、さらに気分を悪化させる。
的確な分析により解決する種類の問題もあるが、分析によって自分を傷つける必要はない。否定的に捉えなければ、状況はそんなに悪くない。
大雑把に書き出しましたが、本書にはもっと分かりやすく多角的に書いてあります。1998年と一昔前の本なので、ググれば様々な方のレビューが読めます。絶賛されている方が多いです。本書を中古で買わなくてもレビューをピックアップすれば大筋は把握できると思いますが、気になった方はぜひ手にとって欲しいです。一つの考え方として知っておいて損はないかも。